食
- 代治朗
北大路魯山人が好んだすき焼き法。
一、鍋に日本酒と昆布だしをブレンドしたものを、一センチほどの分量だけ入れて熱し、それに牛肉を軽く浸してから、取り皿にとり、特製醤油を1滴垂らして食す。
二、もうひとつのすき焼きは、ちょっと甘辛めの割り下で、軽く肉をあぶる程度に煮て食す。こちらのすき焼きは、ときたまごに付けて食べる。
- しげ@させぼ
最近湯豆腐を良くします。豆腐一丁を4つに切って、ちょうど入る大きさの鍋に入れ、ひたひたに水を注ぐ。重曹小さじ一杯ほどを全体にふりかけ、火にかける。沸騰したら、とろ火にし10分ほどコトコト暖める。トロトロの温泉豆腐のできあがり。これを、鰹節、しょうが、ねぎの薬味とお好みで、ポン酢、しょうゆ、ゴマダレなどで頂く。
- 田屋敷酒散人
江戸時代、「鶴」の肉は滋養強壮の効果大と信じられ、大いに高値で売買されていたという。先日、「吉兆嵐山」の料理本をながめていたら、「鶴のテリヤキ」が載っていた。それも長い首のところだ。
鶴の効率いい取り方は、明け方氷の張った干潟に行くと、鶴が足を氷に固められて、抜き差しならぬ状態になってるそうで、鎌を手に、稲刈りするがごとく、鶴の両足を手に握って、「バサ バサ」やると面白いように捕れる。と落語で聞いたことがある。
- 捨老
かつては日本国中の松林という松林に群れ飛んでいたという丹頂鶴の激減が、その貪食のゆえだとしたら、いまだに顧みられない日本史の何と無慙なことだろう。ほおっておけば 人は何もかも喰らい尽くすのかも知れない。
山椒魚と呼ばれ今はオオサンショウウオの名で天然記念物とされる奇生物も、かつてはハンザキ(小さな山椒魚)とは区別され、その味に山椒の香りがあることを知る何者かによって高貴な長寿の食物として皇室はじめ華族達の間で食されていた時期がある。いまではハンザキがその名を譲り受け、辺鄙な山里の貴重な観光資源として、長寿の踊り食いや目刺干しとなって老人たちの収入源となっている。かくいうボクも三州足助の老人たちの勧めで、生きたやつを飲みこんだから、十年は長生きさせていただくことになる(笑)。
とは言うもののカラスまで喰らうことはあるまいと思っていたが、先年ノルマンディーでカラスのれっきとしたフランス料理を食わされた。美味であった。
雉や鹿ならば放埒に喰らうひとびとが、今更クジラを食うなという理屈もこうなっては笑えてくるばかり。
- チャイカップ
リシケシのアシュラムでの話。1週間ほど2食菜食を続けているとどうしても動物性蛋白がほしくなってくる。まだまだ若かりしころなのでよけいである。町の食堂まで行っても、チキンカレーはおろかエッグカレーすらない。聖地なのである。その聖地を流れるガンジス川の支流には捕る人がいないからか、気持ちが悪いほど魚が住み着いている。
- 田屋敷酒散人
大の大人が「おいしいもの食いたい」など、放恣なことを云うのはいかがなものか。散人、朝昼は病院食であります。ここ30年体重は変わらず、が大酒を飲むので「通風」は治らない。偉そうなことは云えない、とフト思ったので止める。
- しんのじ
池波先生、開高先生、壇先生、柴錬先生……。美食家の文豪諸氏のエッセイ、大学時代に百冊位読み耽ったのを思い出します。
中でも、開高先生の豪胆かつ繊細な食道楽ぶり、壇先生の、「宵越しの金は持たない」的な昼夜を問わぬ大宴会。自ら厨房で包丁を手に陣頭指揮を執られていたお姿は、叶うならば一度拝見したかったものです。
学生時代、大いに感化されたことが元になってか、齢四十を過ぎた頃より、再び料理の楽しさに目覚めました。病膏肓に入った今では、50人分とか時には100人分の料理を作って野外で振舞うのが、自身の人生の楽しみの一つとなるに至りました。
- まつを
長崎県農業生産の4割は島原半島で収穫される。取れたての野菜がうまい。魚もうまい。スタンダードでない地の魚が特にうまい。海草もうまい。肉もいける。後は料理という文化だ。しかし松平の殿様は大政奉還の際、さっさと向こうに行ってしまった。
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2017_01_31
異臭美味
- 多比良ガネさんのコメント
島原市の例の場所に、恐るべき超高級食材を田屋敷酒散人先輩と隠し持ってます。今度3人で開けて食べてみましょう!!
- まつをのコメント
おおぅ! シュールストレミングですか! 食したことがないんです。くさやは食べたことがあって、うまいと思ったのですが、こちらはどうなんでしょうね。食してみたいと思っていたのです。楽しみです。動画にあるように、きつい発酵酒と一緒に食べるものなのでしょうね。
- しんのじさんのコメント
多比良ガネさん、横入失礼いたします。しんのじと申す食い倒れ者です。どうぞ宜しくお願い申し上げます。
シュールストレミングですか! 内臓が入ったヤツですか? それとも腹は開いたヤツでしょうか。それによって臭さはずいぶん違うようです。10年ほどまえ、ライトさん(サダム・フセイン風横顔の、善良かつ温厚な日本人の方です)のご友人が某公園で開催した試食会に混ぜて頂いた記憶があります。あれは確か、開いた方だったと思います。氷水で軽く晒された後、玉ねぎのみじん切りと共にバターを塗った薄切りの黒パンに乗せて頂戴した記憶がありますが、十分に美味しいと言える範疇の味でした。ただ、内臓が入ったまま熟成した物なら一体どの位臭いのか気になります(笑)。
臭いと言えば、韓国のホンオフェが双璧らしく、こちらはほぼアンモニア発酵しかかったエイの切り身なので、本当にアンモニア臭が強烈なのだそう(刺激で涙が出るらしいです)。僕はこっちは遠慮しときます。
それはさておき、一生のうちに一度口にしてみたいのはキビヤックです。かの小泉武夫先生の大好物である上、日本人でイヌイットの家長になった男性の一家を一年間追い続けたNHKのドキュメンタリーが素晴らしかったせいもあるでしょう。今でも氷山の間を、そっとカヤックでアザラシを追いながらライフルで仕留めたり、アッパリアス(海雀)の群れが丘の斜面を飛び回る際を逃さず、長い柄のついた網で掬い取っています。怯える子供達に海雀の締め方を教えつつ、肉と内臓を取り出したアザラシの腹の中にアッバスをたくさん放り込んで縫い綴じ、土の中に1年間放置して熟成。羽根も毟らずに仕込んだ海雀は、内臓を中心に液化しているんだそうですが、一匹一匹取り出し、その肛門に口をつけ!、妙なる風味の発酵汁をすする、という強烈な「鳥の液化漬物」です。さらに肉や、頭蓋骨を割って脳味噌まで味わうらしいです。
- 多比良ガネさんのコメント
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2017_02_01
グルメ
- 散人さんのコメント
我が友 多比良ガネさんは、恐らくしんのじさんと比肩する食通であると思考するわけでして。年明けも、東京・京都と仕事を兼ねた食道楽旅をしてきて、その都度ライン画像を私に送ってきました。美味しそうなおご馳走の脇には、妙齢美人が必ず居て華を添えておりました。
さて件のニシンの缶詰ですが、昨年12月31日の年越し、島原美女大集合宴会の折、多比良ガネさんが持参されたもの。未だに怖くて誰も触れず、お店の冷蔵庫に静かにお眠りであります。
開缶の際、私は遠慮させて頂きます。なんとかかんとか、曲がりなりにも68歳まで生きた私は、あの缶詰を開けた時の異臭の中でも、尚生きている自信が全くありません。悪しからずご了承下さい。
- まつをのコメント
わははは。
いつかも書かせていただきましたが、その民族の食文化の基本を知りたかったら、発酵食品を食べることが近道かなと思っています。日本だったら、みそ汁とか、漬物とか。 欧州だったらチーズとか。 タイだったらニョクナムとか。
『座談会 伝統食品を語る』にこうありました。
- 「酒でも味噌でも醤油でも漬物でも 微生物が発酵によってつくり出す特殊な香味というものは生物に共通な嗜好力を持っているものだと申し上げたいですね。 単一な成分ではなく,微量かつ複合したものがあるわけです。 それが本能的に人間の嗜好を引きつける。 つまり人類共通だというわけです。」
米国CNNが発表した「世界で最もおいしい50種類の食べ物」が悲しみを誘います。35,000件の投票を元に決定したそうですが、ラインナップをみますとアメリカの食の悲しみ。発酵食品なし。21位チーズバーガー、31位フライドチキン、37位ポテトチップスとか。南無。
一応ベスト10を挙げますと、1位ルンダン、2位ナシゴレン。3位寿司、4位トムヤンクン、5位パッタイ、6位ソムタイ、7位点心、8位ラーメン、9位北京ダック、10位ゲーン・マッサマン。私が食していないと確信を持って言えるのはルンダンとゲーン・マッサマン。
にしても大丈夫かアメリカ人。一人1票でやればこうなるということ。民主主義って。アメリカ庶民層の食の三拍子は、ビッグサイズで、お子ちゃま味で、油っこいこと。
二極化は食生活にも及び、ジャンクフード派とスローフード派に見事に分かれているようです。
多比良ガネさんの忘れられない食べ物ってなんでしょう? 聞いてみたいなあ。
- 「酒でも味噌でも醤油でも漬物でも 微生物が発酵によってつくり出す特殊な香味というものは生物に共通な嗜好力を持っているものだと申し上げたいですね。 単一な成分ではなく,微量かつ複合したものがあるわけです。 それが本能的に人間の嗜好を引きつける。 つまり人類共通だというわけです。」
- 多比良ガネさんのコメント
二つあります!
1つ目は、牛の脊髄の塩焼き。これマニアックでしょ(笑)。味は牛肉風味のふぐの白子の食感ですが、現在ではいくら肉屋本業でも絶対食べられません(笑)。BSE(狂牛病)の原因特定危険部位で、食肉センターで脳と脊髄は厳重な廃棄管理下におかれ、焼却処分まで県の検査員の管理化に置かれて、出回ることはまずありえません。しかし私の母校の教授とも話していたのですが、狂牛病発生要因とプリオンの関係は沙汰かではないとの見解でした。その危険部位を子供のころから食ってる私は、とうに狂牛病になっているのでしょうか(笑)? 大酒のみ症状女好き症状は出ていますが(笑)。
もう一つは、有明海で採れますが、めったに出回らない穴蛸。別名手長たこです。春先に店に並ぶ飯蛸とは別ものです。この穴蛸の頭(学術上は胴体)の中の肝の醤油煮つけ! これ強烈に絶品です。海のフォアグラ!潮の香りこみの絶品です! しかしこの穴たこ、子供のころから採り方を名人に伝授してもらいましたが、いまだかってカニの穴と見分けがつかない素人同然(泣)。名人(私のいとこ)なんかは三歩ぐらい歩いただけで「ほらそこそこ!」「????どこ?」「そこさー!」「んん~~わからん」みたいな捕獲には穴を見分ける能力0の状態です。食いたいときは、今から旬なんですが、穴たこ掘り名人の後を着いて行くしかご馳走にありつけません(笑) 。
上記2品が私が選ぶベスト2の食材です!
- 散人さんのコメント